During the Night -よるのあいまに-
従来のライブペインティングは単調になりがちで長時間に及ぶため、鑑賞者が飽きる事なく描き始めから完成までを見続ける事は困難であり、アーティストの完成までを紆余曲折しながらも出来上がっていく過程も見せたいという思いが達成されることはほとんど無い。
本作品は、そんな従来のライブペインティングの枠を拡張し、完成までの時間軸を、演劇や映画のように起承転結のある物語に変えた。
物語の節々で起こるアクシデントやハプニングをフィジカルな体験にし、一緒に絵を完成させていく物語の登場人物として扱うことで、ただ見ていただけの鑑賞者とアーティストの距離を無くし、協力しなければ先に進めない展開や自分の行動によって描かれる絵が変化することで描き始まりから終わりまで飽きずに楽しんで鑑賞してもらえるようライブペインティングの制作過程にストーリー性をもたせた〝物語参加型ライブペインティングショー作品〟にした。
ただ一方的に絵を描いてテクニックで見せるのではなく、鑑賞者を作品の制作過程に巻き込むことによって一人一人の必要性と、偶然居合わせた運命を感じさせ、時間を忘れてのめり込ませる作品にした。
イベントでは鑑賞者全員にアイテムが配布され、物語の中で必ず使用するイベントが発生。 鑑賞者は必然的に物語の〝登場人物〟となり、アーティストや周りの人とコミュニケーションを取りながら協力して作品を完成させていく。
また鑑賞者の反応や行動にアーティストが瞬時に対応し、描きあがる絵も毎回変化する。
その場限りのライブ感を、アーティスト・鑑賞者が共に楽しめる設計となっておりデジタルテクノロジーだけでなくアナログのテクノロジーやトリックも駆使し、鑑賞者が本当に魔法の世界にいると感じるような体験を作り上げた。
本編に登場する精霊を封印する為に魔法陣の紋章を書くアクションには「Microsoft Kinect V2」を使用して対象範囲にいる人の骨格を認識し、筆を持って手を伸ばした先にプロジェクターで光の軌跡が描かれるようにプログラミング。体験者にコンピューターの操作を意識させることなく魔法を使っているかのような体験をさせることを可能にした。
また「動く絵画のアルフレッド」として、「Live2D + FaceRig」のテクノロジーを利用し、絵画の中の猫のキャラクターの表情を声優のリアルタイムの声や表情に合わせて動的に変化させることで、体験者とリアルタイムでコミュニケーションを取れる物語の助言者を登場させた。
この他にも静電容量方式のタッチセンシング技術を利用した喋るカボチャや、赤外線通信によりLEDランプに近づけることで火をつけられるロウソク型ライト、ディスプレイと偏光板を利用した見えないものが見えるゴーグル、再帰性反射の技術を応用しフラッシュ撮影した時だけ文字が浮き出る鏡、水の量が変化する水槽、ブラックライトにより浮き出る文字、手品のトリックを応用した光る五精霊、ドライアイスを使った調合演出、大量のスポンジを吹き出す装置など、様々なデジタル・アナログの技術を融合させた空間によって鑑賞者の集中を切らす事なくパフォーマンスに引き込む設計となっている。
そして、パフォーマンス終了後には、鑑賞者達それぞれの特徴を取り込んだ一人一人違うキャラクターのイラストが部屋一面に飾られており、改めて鑑賞者も物語の一部であるということが強調される。
さらに今まさに体験し、みんなで作り上げたライブペイント作品を撮影し、リアルタイムで印刷、製本。
最後に一冊の本として仕上げ、唯一無二の作品と体験が、毎回 パフォーマンスごとに誕生していく。
本作品の演出には、プロジェクションマッピングやセンサーデバイスの活用等、昨今のメディアアートの分野で培われてきたノウハウをふんだんに取り入れたものや、ブラックライトや再帰性反射材など素材の特性を活かしたギミックも数多く登場するが、 これらを舞台美術の力も借りながら、世界観を徹底することでリアルとバーチャルをシームレスに横断し、アートとテクノロジーを融合させた魔法のような世界を物語に寄り添った形で実装している。
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CREDIT
Planning, Production / CALAR.ink
Actor / Anri Watanabe
Actor / Ami Sato
Designer / Shuji Hirai
Scenario Writer / Giuseppe
Costume Design / Meiko Abe
Makeup / Mana Ogawa
Voice Actor / Emi Suzusiro
Voice Actor / Taka Kuromoto
Voice Actor / Yu Hiramoto
Voice Actor / Takuto Hashidate
Voice Actor / Vantan Game Academy Production
Design / Emiko Ueda Production
Design / Tamami Terado
Sound Department / Mio Inoue
Special Thanks / Fantastic Space Design Seminar