【2015年】今年作ったものまとめ(個人・仕事)
2015年も残す所あと1日となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
仕事納めが終わってから家に引き籠もり続けてる坪倉です。
大掃除も終わりが見えずちょっと現実逃避したい気分なので、ここいらでちょっと自分の為の情報整理も兼ねて
今年私が関わったお仕事や、個人活動をまとめておこうかと思います。
なんかこうやってまとめる事って大切な気がするんですよね。
僕が何やってる人か知ってもらえれば嬉しいです。
ただ、結構長いので覚悟して下さいねw
では1月から順にどうぞ!
※掲載している情報は弊社ワークスサイトやSNS等で公開済みのものです。
※公開NGの案件は省いています。
1月
SmileNews
2年前にリリースして少しづつアップデートしてきた東北のニュースが毎日届くアプリ。2年間で合計720記事を読んで、最後の花もついに開花。 pic.twitter.com/qPgZdgK14P
— Teruaki Tsubokura (@kohack_v) 2015, 6月 23
東北のニュースを読むとアプリ内で花が育って、咲くと実際に花をメッセージ付きで東北に贈れる、「読む」復興支援アプリ。 毎年少しずつアップデートしていて今年で12種類の花を育てられるようになりました。 私はiPhone/Androidアプリの開発を担当して、AdobeAIRで制作しました。
2月
コブクロ「奇跡」Music Video
2月にはコブクロさんのミュージックビデオのテクニカル演出を担当させて頂きました。 内容はコブクロのお二人の心拍数を取得して、それに応じて赤青の水滴を発生させる装置でリアルタイムにコブクロのお二人の背景映像を作成するという、VJに近いようなお仕事でした。 私は、技術面からの企画提案とテクニカルディレクション、そして水滴発生装置の制作を担当しました。 そして他の2人のエンジニアに心拍リストバンドとVJ用のアプリの開発をお任せして、3人で開発しました。
制作秘話なんかはエンジニアタイプさんの取材を見て頂くと良いかもしれません。
コブクロ新曲MVの制作秘話を聞きにいったら、油とインクにまみれたMacbookがそこにはあった – エンジニアtype
他にも東京タワーでこのMusic Videoと連動した企画もあり、MVで出てきたイヤホンジャックが東京タワーに出現!と言うことで、 イヤホンジャックにお手持ちのイヤホンを挿すとコブクロのお二人からのメッセージと「奇跡」が視聴できるというものの制作も担当しました。 こちらはPCは使わずにArduino等のハードウェアデバイスだけでイヤホンジャックの抜き差しを検出して音声が再生されるように実装しています。
3月
LENOVO YOGA MOJI STUDIO
3Dキャラがヨガで文字を表現してくれると去年末、Twitter/Facebookを中心に流行った大 人気のYOGA MOJI STUDIOなんですが、それがエレクトリックラン仕様になって帰ってきました。 エレクトリックランの会場で、スキャンマシンに入ってスキャンすると自分 の3Dキャラが生成されて、ヨガ文字動画を作ってくれるのです。ずっと列が途切れないほど大人気でした。
私はUnityで3Dキャラをアニ メーションさせて動画&静止画を書き出すアプリの開発を担当しましたが、 体験者一人あたり全文字分のアルファベット動画や静止画や定型文等の素材、全110種類以上をレンダリングしてリサイズしてアップロードしていく(しかも PC3台を並列化してレンダリング)という中々クレイジーな事をやっていたと思います…。 このお仕事でUnityの知見はかなり増えたと思います。
4月
REVLON | あなたのキスマーク恋愛診断 Lip Print Readings
今週は渋谷駅で唇診断のできるデジタルサイネージやっておりますのでどうぞー。 pic.twitter.com/rdmhauH6Za — Teruaki Tsubokura (@kohack_v) 2015, 4月 6
REVLONの口紅を使って台紙にキスマークをつけてスキャンすると、唇の形状に合わせて診断結果が表示されるデジタルサイネージのシステムを制作しました。
しかもちゃんと唇の幅・高さ・上唇の厚さ・下唇の厚さ・唇の開き具合など様々な情報を取得して、唇診断士の方が監修した診断アルゴリズムにもとづいて診断結果を計算していたりもするのです。
診断結果はその場でプリントアウトして持ち帰ることも出来ますし、印刷されたIDをWebサイトから入力すれば詳細な診断結果も見ることが出来るようになっています。
私はデジタルサイネージのアプリケーションをAdobe AIRで開発しましたが、こちらも体験者の唇画像がどんどん蓄積されていき、デジタルサイネージの演出の一部となって動き出す面白いサイネージになっていました。
6月
PEPSI STRONG ZERO「ONI-GOKKO」
こちらはPEPSIのSTRONG ZEROという商品のプロモーションイベントで、6月11日〜23日の間表参道にオープンしたPEPSI STRONG BARで体験できる体感型VRコンテンツ「ONI-GOKKO」です。
こちらも大人気のコンテンツで、最近も全国色んな場所を巡回して展示しているようです。
弊社のUnrealEngineエンジニア2名と、3Dスタッフ2名、ハードウェアエンジニア2名で制作を行い、私は企画提案とハードウェア(ボトルのセンシング&LEDアニメーションまわり)を担当しました。
なにより篠崎愛ちゃんかわいかったです。
POCARI SWEAT 天津新工場
そしてPEPSIとほぼ同時期に同時進行で進めていたのが、中国天津にあるポカリスエットの工場内見学・体験エリアのインタラクティブコンテンツです。
工場内の複数の体験型コンテンツを制作しました。
Kinectで体の中の水分量が可視化されるコンテンツや・・・
世界各国のラベルのポカリにボトルを近づけると、各国の乾杯や挨拶の音声が流れたり・・・
全長22mにもなるパノラマプロジェクションルームがあったりと、盛りだくさんな内容になってます。
しかも普通に工場の生産ラインがガラス越しに見えるようになっていて、巨大な装置がウインウイン動いているのを見てるだけで楽しい空間でした。
このお仕事では私はパノラマプロジェクションルームの6台のプロジェクターによるプロジェクションマッピングとブレンディング、そして6K1Kにもなる高解像度の映像の同期再生を行うアプリケーションの開発を担当しました。
常設なので、起動終了も壁のボタンからワンタッチになっていたりもします。
個人製作「Vertexceed」
今年は魔法の美術館への出展も増えたので、新しく新作を作りました。
それがこの「Vertexceed」です。
3Dのデジタル空間を象徴する頂点(Vertex)と、現実世界との境目を超える(Exceed)を組み合わせた造語で、3Dのデジタル表現を実際の立体物にマッピングして現実に近づけたり、逆に物理世界の人の動き等をセンシングによってデジタル空間へマッピングしてデジタルに持って行ったりと、それぞれの境目を超えて現実・デジタルのコミュニケーションを行うことをテーマとした作品です。
ベースはopenFrameworksで画像処理等のインタラクティブ部分は開発していて、一部Unityで書きだしたプリレンダムービーも使用しています。
この作品は今年だけでも新潟・秋田・埼玉・中国天津・福岡・大阪・青森と7会場で展示させて頂きました。(開催順)
7月
個人製作「つくもがみ」
今年作った魔法の美術館用の新作2つめです。
古い物に宿ると言われる精霊「つくもがみ(付喪神・九十九神)」をテーマにした作品で、廃棄場に棄てられた物達の魂を可視化して現代の大量消費社会に問を投げかけるような作品になっています。
人の出したゴミで人を形取るのって人=ゴミみたいで最高に皮肉が効いてて面白いと思ったし、正直これを遊ぶ子供たちにはそんなことまでは考えてもらわなくて良いと思ってます。
ただ、これを遊ぶ子供たちを見ている大人(つまり親)が無邪気に遊ぶ子供たちを見て「ハッ!」としてもらえたら僕的には勝ちかなと思っています(笑)
この作品は今年、埼玉・中国天津・大阪の3会場で展示させて頂きました。(開催順)
Air Floating NUI
日東電工さんのご協力で、フローティングメディアと呼ばれる空中に立体映像を表示できる素子を使って制作した作品です。
Unityによる空中3D映像と、LeapMotionと呼ばれる指トラッキングデバイス、そして空間の上下に設置された超音波モジュールによって、空中映像への当たり判定が指にフィードバックされる作品。
空中映像に触れ、空中映像から触られるという新しい体験ができる装置。
この作品のソフトウェア開発からハードウェア制作、そして什器の設計製作に至るまですべて一人で担当しました。
フローティングメディアの活用アイディアは色々と思いついているので、もっと色んなものに利用してみたいですね。
8月
グループ製作「運命的アクシデント」
こちらはお仕事ではなく、プライベートワークになります。
ArtHackDay2015というアートとテクノロジーのハッカソンで制作した作品になります。
チアキコハラさんという芸術家の方を中心に建築家やエンジニアが集まり、ステージからシステムからハードウェアから何から何まで自分たちで作りあげた作品です。
チーム的には理想としていた所まで辿りつけず未完成で悔しい思いをしたのですが、ArtHackDayではその可能性を含めて評価して頂き、なんと
<< アート部門 最優秀賞 >>
を頂くことが出来ました!
更には来年の9月に行われる茨城県北芸術祭にも作品が選出されるという次に繋がる結果になりました。
ありがとうございます(涙)
この作品では私は、全体のテクニカルディレクションと、Kinectで影を動かすUnityアプリ開発、そして「魔法の筆」とメンバー内では呼んでいた自動で筆を動かして絵を描くハードウェアデバイスを制作しました。
このあたりはちょっとここに書くには内容が濃すぎるので、いつかちゃんと記事を書きたいなぁと思っているのですが、自分でもまとめきれるのかちょっと怪しいです…。
今振り返ると企画も含めて全体で2週間程度だったので、我ながらかなり無茶をしたなぁという感じですが、最終的には目標としてたやりたいことを詰め込みきれずに中途半端な結果になってしまったので反省です…汗
来年の茨城県北芸術祭でリベンジします!
9月
Aiko Oi Live Tour 2015 / Third Love 〜自然と人間との共生〜
こちらもお仕事ではなく、プライベートワークです。
サウンドクリエイターのAikoOiさんのライブ演出を去年に引き続き担当させて頂きました。
今回は「月」がテーマで、映像もUnityとopenFrameworksでリアルタイム3Dをゴリゴリやったりしたんですが、準備が必死過ぎて全然撮影できませんでした…。
さらにラストには7チャンネルサウンドを駆使したサウンドインスタレーションということで、専用のライティングハードウェアを作成して挑みましたがこちらも必死過ぎてまともな映像が残っておりません…涙
動作音が割とうるさい… pic.twitter.com/oqBnSfxp0E
— Teruaki Tsubokura (@kohack_v) 2015, 9月 22
7チャンネルの立体音響にあわせて光に包まれるやつです。
10月
東京モーターショー「TOYOTA FCV PLUS」
そして間違いなく過去最大規模のお仕事になった東京モーターショーの「TOYOTA FCV PLUS」のインタラクティブステージ! あの有名なPARTY社のクリエイティブディレクター、清水幹太さん・中村洋基さんとご一緒させて頂いたお仕事でした。 何故か幹太さん・洋基さんから私は過大評価されているような感じ(?)で割と企画段階の時から関わらせてもらったり、インタラクションのテストのために個人製作物をPARTY社のスタジオで設置して体験してもらったりしてました。
東京モーターショー1日目無事に終了しました! 1台の車と12台のプロジェクターと12台のパソコンと15個のアプリと6台の照明と4種19個のセンサーと約50mの巨大ディスプレイが全部連携して動くとか信じられないですが正常稼働してます。 pic.twitter.com/Eavrp0emia — Teruaki Tsubokura (@kohack_v) 2015, 10月 29
内容的には上記のツイートの通りなのですが、直径11mほどの巨大なドームの中で12台のプロジェクターによる360度の壁面&床面映像と、3個の測域センサ、3個の赤外線カメラ、12個の接近センサ、そして1個のマイクが色々なユーザーの行動をトラッキングして凄いインタラクティブに映像に反映されるというもので、子供達が遊んでいる映像がそのまま50m級の巨大ディスプレイに流れて、見ている大人たちへのプレゼンテーションになっているというものです。
詳しくは、しおたん(@ciotan)の取材記事がわかりやすいかもしれません。
「子どもの頃の体験」は未来に残る。東京モーターショーで異彩を放った、クリエイターたちの挑戦 | THE BAKE MAGAZINE
いやはや、この仕組を考えて組み上げたPARTYさん達は凄すぎますよね…。
私が担当したのはドームに投影する壁面と床面のアプリで、全部Unity製です。
3D空間内に同じ実物と同じようにドームを作って、360度分のカメラや3Dモデル、エフェクトを配置して360度分の映像をリアルタイムで出力しています。
ドームへのプロジェクションマッピングや細かいキャリブレーションについてはドームプロジェクションのプロ、オリハルコンテクノロジーズさんに入ってもらってます。
オリハルコンさんに壁面と床面マッピング用のUnityアセットを用意してもらい、キャリブレーションデータも作ってもらったので私はインタラクションや映像表現に集中することが出来ました。
壁面も赤外線カメラによる動体検知と接近センサによりめっちゃ反応します。
僕らの担当した部分だけでも12台ほどのPCがネットワークで連携して動くんですが、準備を十分にしていたからか会期中一度も不具合が起こることも無く、安定稼働しまくっていました。
イベント案件沢山やってきましたが、これは凄い事です。
もしも問題が起きた時のために12台のプロジェクター用に12IN 12OUTという鬼のようなスペックのDVIスイッチャーと予備のハイスペックPCを2台用意して、
さらにバックアップ用アプリケーションや映像も用意するという万全の体制で挑んだのに、一度も日の目を見ることはありませんでした。(いや、すごく良い事なんですけどねw)
でもここまで技術的なチャレンジをしつつ無問題で会期を乗りきれたのはエンジニアとして純粋に嬉しいですね。
私の人生の中でも間違いなく1位2位を争う良いお仕事でした。
11月
ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」
こちらはジャンプの人気マンガ「ハイキュー!!」が舞台化されるということで、テクノロジー演出の企画提案で少しお手伝いさせて頂きました。
実装は社内の別のエンジニアにお任せしたのですが、舞台上で使用されるバレーボールをちょこっと改造しています。
来年再演もあるようなので、まだ見てない方は是非見てみてくださいー!
ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」公式ホームページ / キャストや公演チケット情報など
12月
京都水族館「雪とクラゲ」
さて、年末ギリギリに公開されたのがコチラ。
京都水族館の「雪とクラゲ」です。
クラゲの水槽に合わせて壁面と床面、合計6台のプロジェクターにより美しい映像が投影されます。
さらに床面は2台の測域センサによって人の位置をトラッキングしているため、人が水の映像の上を歩くと波紋が出たり、雪の上を歩くと雪が溶けて床が見えるようになったりと、沢山の人が同時に楽しめるコンテンツとなっています。
Gigazineさんでも記事にして頂いていたりと大変人気のようです。
クラゲが雪のように舞い光・音・香りで彩る京都水族館「冬を楽しむインタラクティブアート 雪とくらげ」に一足早く行ってきました – GIGAZINE
私は床面のインタラクティブな映像のアプリを担当し、Unityで開発しました。
この案件にjoinしたのはかなり最後の方だったんですが、モーターショーの知見があったので割とサクサクっと組み上げられました。
3月13日までやってますので、お近くの方は是非行ってみてください〜。
・・・というわけで、一年を振り返ってみました。
スマフォアプリからプロジェクションマッピングソフト、ドーム、ハードウェア・什器制作に至るまでもはや何屋さんかわからないような立ち回りをしている僕です(汗)
公開NGのもあったりで全部は紹介出来ていませんが、ひと月あたり1案件以上はローンチしていたような気がします。なかなかのハイペースなんじゃないでしょうか。
また振り返ってみて、僕は仕事に恵まれていて、本当にやりがいのある楽しいお仕事を沢山頂いている幸せものだなぁと感じました。
現状に満足せずに、もっと良い仕事が沢山頂けるように自分のスキルに磨きをかけていきたいです。
お仕事で関わった方々、今年は本当に有難うございました。
皆様どうぞ2016年もよろしくお願いいたします!
以上、坪倉でした!